【日時】:2022年6月12日(日) 14:00~16:00

【会場】:江戸川区子ども未来館

【対象】:小学4年生~6年生/計15名

【担当講師】: 知財創造教育支援委員会 遠田利明、 高原千鶴子(文責)

 

■授業の概要

江戸川区子ども未来館「子どもアカデミー」の前期ゼミ(全6回)の第3回目のテーマは「意匠」で、前半は意匠についての知財授業、後半は風車の工作授業をしました。

 

知財授業は、意匠権のポイントから始めました。

格好良いデザインを考えた人が、他の人に真似されて損をしないように守ることが意匠制度であり、特許と対比して紹介しました。

次に、具体的な意匠権の例として、①みんなはどのスニーカーが好きかな?と色々なスニーカーの登録例を紹介し、併せて部分意匠の登録例も紹介しました。また、②ヒット商品を生んだ意匠(超立体マスク、フリクションペン)、③自然をモチーフとした意匠バイオミテックス(生物模倣技術)として(i)カワセミ等の自然の造形に近づいた意匠として新幹線500系の紹介(ii)サメ肌から生まれたスイミングウェアの紹介、④身近な工業デザインとしてカッコいい列車を紹介しました。更に権利化後の事例として、⑤高額な賠償額の裁判例(「自動二輪車事件」損害賠償額 約7億6千万円等)、⑥江戸川区としては初の試みである意匠権の訴訟及び攻防について、訴訟体験を披露しながら、体重計のデザイン等を例に挙げて紹介しました。

身の回りにある具体的な事例をもとにしての意匠権の知財授業でしたので、参加者は非常に興味を示し理解ができました。

 

工作は、風車「花」を題材にしました。

風車の工作について、一般的な風車(4枚、5枚、八重葉等)の説明をし、更に、このような構造の風車が登録されるならば、自分でもできる!と思ってもらいたいと考えて特許庁で登録されている3種類の最新の風車の例を紹介しました。早速、≪3層に重なり、緑の羽根は左方向に、青の羽根は右方向に回る「星風車」の登録≫について、江戸川区の参加者らしく、本当に左方向と右方向に羽根が回るの?という鋭い質問が出されました。工作「花」の風車については、羽根の部分(ボールペンを使っての穴あけ)、芯の部分(針金、わりばし等を使っての支柱作り)、羽根と芯の組み立て、参加者による羽根への工夫、装飾、色塗り等に思った以上に時間がかかったのですが、参加者は飽きることなく没頭していたので、終了時間を告げるのが大変でした。終了後、部屋の中で、実際に風車を回転させました。回転させるにはコツがいるため、それぞれが工夫して楽しみました。最後に、コンテストを行い、得票数の多い1番から3番の子には特別賞を与えました。

 

■江戸川区子ども未来館様の感想

以下のメールを頂戴いたしました。

充実した意匠講座をありがとうございました。参加者全員が知財について強く意識づけられたようなポジティブなものばかりで担当としてうれしい限りです。知財授業は、いつも小学生たちに丁寧にしみわたるようにご説明いただき、感謝しております。知財授業により言及されましたバイオミテックス(生物模倣技術)により、参加者たちは工業デザインの重要性をよく理解でき、これから身のまわりの工業製品を興味深くかつ注意深く見るようになるのではないでしょうか。

 

■担当講師の感想

風車を工作するのは初めてであり、また、ペンチ・千枚通し・針金などの怪我につながるものを利用するので、心配がありましたが、ボールペンを千枚通しに替えることで安心して工作に臨めました。怪我をすることなく、和気あいあいと、楽しく取り組んでもらえたので講師としてたいへんよかったと思います。しかし、生徒の感想については、工作時間がオーバーしたことにより、感想文を書く時間がなかったので直接のコメントは聞けませんでしたが、帰っていく顔は皆楽しそうで溌溂としていましたので、満足してもらえたのではないかと思っています。

今回の様に、工作時間が時として生徒達が熱心なあまり時間超過となってしまいがちなので、今後の授業時間については考慮の余地がありかと思いました。

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