【場所】横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
【対象】高校1・2年生 男女 50人前後
【講師】日本弁理士会関東会知財創造教育支援委員会 岩永勇二、高原千鶴子(書記)
■授業の概要:
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校は、横浜市にある公立の理数科高校で、通称は、「YSFH」「サイフロ」と呼ばれています。2009年に京浜臨海部研究開発拠点の横浜サイエンスフロンティア地区に設立された新しい高校で、初年度の受験倍率は5倍を越えるなど、県下公立高校では高倍率になっています。また、文部科学省から、「スーパーサイエンスハイスクール」「科学技術人材育成重点枠指定校」「スーパーグローバルハイスクール」に指定された他、横浜市教育委員会からも進学指導重点校に指定されています。
理数科高校としては、在籍数が以下の女子が約3分の1を占める稀な高校です。
男子 高校1年生:157名・高校2年生:154名
女子 高校1年生: 79名・高校2年生: 83名
授業は、担当の田川貴章先生との打ち合わせにより、キャリア教育を行いました。
岩永は、知的財産権と産業財産権の違い、産業財産権の取得事例、事前質問に
対する回答(下記①、⑤~⑦、他の質問への回答は時間が足りず説明省略)、パテントコンテスト・デザインパテントコンテストとその入賞作品の紹介、知的財産権の重要性、弁理士の仕事、裁判所調査官の仕事、弁理士試験について説明を行いました。
高原は、弁理士の試験勉強、理数が得意でなくても弁理士として通用する、弁理士の男女比率、仕事で海外13ケ国への訪問、海外セミナーの講師、INTAの紹介等のキャリアの説明(高校生からの事前質問を含め)、併せて、知的財産権(商標・意匠・著作権)の授業を行いました。
【高校生からの質問事項】 ※特許は、特許・商標と読み替えて質問に答えました。
①今まで出願した特許などの知的財産で、面白かったものおよび風変わりなものはなんですか?
②トラブルがあった事例も興味があります。
③高校時代に「こんなスキルをみにつけておけばよかった!!」みたいに思ったことはありますか?
④弁理士になることにした動機
⑤どんな仕事かあまりよくわかっていないので詳しく教えてほしいです。
⑥AIに仕事を奪われる可能性はあると思いますか?
⑦印象に残っている特許はありますか?
■生徒の感想 (一部)
ほんの5分くらいの時間で書いてもらって回収したのですが、色々な興味ある感想が出て来ました。一部ですが抜粋して掲載します。
・情報の授業できいていた話を生できけて面白かったです。○○士と付くので理系なのかな?と思いましたが、英語や文章作成など文系の能力が必要だということにやはり全部やらないといけないのだと思いました。とても面白い話が聞けて楽しかったです。
・弁理士と言う言葉は少し聞いたことがあったけれど、どんな仕事なのか全くわからなかったので、今日、話を聞いてよかったです。特に驚いたことは、外国からの仕事や外国と関わることがあるということです。その他、様々な特許をとったおもしろい発明やエピソードを聞けてもっと知りたくなりました。もっと、自分で調べようと思います。
・海外や海外の方との仕事があると知らなかったので、英語をもっと頑張ろうと思いました。先生方が自分のしごとに自信を持って取り組んでいて自分もそのような職業に就きたいと思いました。
・最近のドラマで弁理士について少し知っていましたが、今回のお話をきいて、くわしい仕事内容や苦労すること、将来役立つことまでたくさんのことを知ることができました。商標と知的財産権の違いをしらず、ずっと同じものだと思っていたので理解できてよかったです。
・技術には深く興味があるので、発明に広く深く携わることができる弁理士という職業はとても魅力的に思えました。自分も研究を深めて特許コンテストに出してみようと思いました。
・自分は自動車とか乗り物に興味があって特許に興味があったのですが、デザインは意匠権、マークや名前は商標権ということやボディなどでも別々にとったり、国などで違うということを知ることができてとてもよかったです。自分が気になったのは、日本と海外との法律(権利の及ぶ)の違いについて疑問に思いました。
・「なるべく広い権利がとれるように」と考えるというのは、なるほどと思いました。書かれた法律とかに基づいて仕事をする弁護士さんとかの考え方も聞いていたので、文章を作る側の思考回路もしることができたのは面白かったです。そもそも、弁理士とは?と言うところからでしたが、色々(知らなかったこと、コミュニケーションの大事さ、大きなお金の動きがあるから信頼が必要なことなど)を知れて、知らなかった世界が知れて面白かったです。
■主催者の感想
・夏休みの間に行う、希望者のみが受講する教養講座での実施でした。本校は理系の個人研究を行う学校で、研究者を志す生徒も多くおります。知的財産については敏感でなければならないため、ぜひ、お話を伺いたいと考えて授業を申し込みました。
・一般に「弁理士」という資格やお仕事の内容についての生徒の認知度が低いために、今回の授業に対する生徒の期待度はかなり高かったように思います。弁理士の先生方のお仕事がとても身近に感じられるお話で、生徒たちもとても前のめりになって聞いていたような印象でした。さまざまな方が資格を持って活躍されておられることや、弁理士の皆さんによって特許が認められ、権利や利権が守られることを知ることによって、社会のしくみについての知識や、自らのキャリアについての視野が広がったように思います。
・私としても勉強になる話が多くて、先生方からお話が聞けて早速、明日の授業から使える材料を頂きました。ありがとうございます。今後とも、長いお付き合いを頂ければ幸いに思います。
■担当講師の感想
≪岩永の感想≫
開校した年(2009年)に一度、知財授業に行って以来、約14年ぶりに知財授業を行なわせていただきましたが、当時と変わらず、生徒たちの理解の早さ・集中力等には目を見張るものがありました。授業後の質問も、授業をよく聞いていなければ出来ない質問ばかりで、その質問内容に感心しました。また、夏休み中の自由参加の授業であるにもかかわらず、50人前後が参加するという生徒たちの学習意欲の高さにも驚かされましたが、このような企画を計画・実行し、参加するように導いた担当の田川先生の行動力・生徒愛にも感銘・敬服するばかりでした。
≪高原の感想≫
授業をしていて、生徒たちの本当に熱い眼差しを受け、また、質問を受けて、あっという間の30分でした。弁理士は海外の弁理士との交流があり、また、権利が海外にも関わっていると知り、弁理士に興味を持ちましたので、もっと英語に頑張ろうと思います、との生徒さんの感想文がありましたが、今回の授業を楽しく、また、ある程度期待を裏切らないで実行できたことに安堵いたしました。今後は、弁理士の認知度を高めるために、知財工作・授業と併せて、弁理士のキャリア授業も取り入れて行うのが良いのではないかと感じました。




