【日時】 2024年7月26日(金) 13:30〜15:30

【場所】 神奈川県立柏陽高等学校

【参加者】 高校1年生2名、担当の先生1名、他の先生2名 (計5名)

【担当講師】 知財創造教育支援委員会 高原 千鶴子(文責)

オブザーバー 知財創造教育支援委員会 佐藤 高信 神奈川委員会 野田 章史

 

■授業の概要

(1) 生徒からの事前質問

アニメや漫画が好きです。二次創作の作品をネットに投稿する際の注意点を教えて下
さい。

≪回答≫

一般的に容認されているため、二次創作として同人誌のイベントが開催されていま
す。しかし、著作者の許可なく改変等した二次創作は法律的には違法です。したがっ
て、二次創作の際には、原作にはない性的描写を加えたり、改変しすぎたりするよう
ないきすぎた表現をしないで、著作者の許容範囲内に収める注意が必要です。許容範
囲を超えると起訴される可能性があります。

(2) 弁理士になってよかったこと

・結婚後も仕事を続けられること。

・自分の担当した産業財産権が権利化されたとき、お客様が喜ぶのをみてやりがいを
感じる。  

・観光旅行では通常行かない土地 (日本・外国) を訪問する機会があり、楽しい。

(3) 生成AIについて

先生へ次の項目についてお願いをしました。

・学生さんが、AIを使うべき場面かどうか、適切に判断できるように指導する。

・AIの回答は誤りを含む可能性があると指導する。

・学生さんが、偽情報に対し違和感を抱ける感覚を身に着けられるように指導する。

(4) 質疑応答

佐藤先生、野田先生が参加して大いに盛り上がりました。

・Q1:自動2輪の意匠権侵害訴訟(本田vsスズキ)について、損害額はどのようにき
まるの

でしょうか。

A1:意匠法39条を提示し、「意匠権者は自己の意匠権の侵害により受けた損害の
額を、意匠権を侵害した者が受けた利益の額と推定することができる」と言う規定に
基づいて侵害の額が認められましたが、実際の損害額は21億円強で、そのうちの7
億円を請求したらしいです。

 ・Q2: 栽培する食べ物等については、何法で保護されるのでしょうか。

A2: 新品種の場合は、種苗法にて保護されるが、新品種の栽培方法や器具は、特
許等で保護されます。

■生徒の感想

 知的財産について中学校の技術の授業で少しは習っていたのですが、今回の授業を
していただいたおかげで世界では知的財産をどのように守っているのか、弁理士の方
はどのような仕事をなさっているのかが分かって、理解が深まりました。リクエスト
の内容にも対応していただきありがとうございました。特に印象に残ったのは生成A
Iに関する話題です。以前授業でAIによる無断利用から著作者をどう守るかを考え
たことがあります。

知的財産を守るために、弁理士の方々も今後向き合わなければならない新たな課題な
のだろうな、と考えを深めることができました。

■ご依頼者様の感想

・知的財産権の種類からとても丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。弁
理士へのなり方も具体的なイメー

ジを持って理解することができました。きっと生徒にとっても、有意義な時間だった
と思います。高校生対象という

ことで、パテントコンテストの事例は特に自分事として捉えることができたかもしれ
ません。今年は質疑応答が盛り

上がったので、来年度からは質疑応答もタイムテーブルに組み込んでみようと思いま
す。

・知財管理という考え方は、情報社会の中で大切なもので、それに携わる弁理士とい
うお仕事について、今まで知らな

ったのですが、よく理解することができました。特許だけでなく、商標権、意匠権、
著作権など、それぞれの基本的

な定義や関連性、相違についてもよくわかり、実例に即して現実の日本と世界の産業
財産権と知的財産権について考

え、日本の将来などについても考える契機を与えていただきました。3人もいらして
いただき、ありがとうございま

した。

・本日、講演ありがとうございました。弁理士という仕事があることを知りませんで
した。特許などに関する仕事は、

弁護士がするものだと思いました。大変失礼しました。自分が知らず知らずのうち
に、権利を侵害してしまっていな

いか、気になるところでした。自分への意識付けとしては、いい機会であったと思い
ます。次年度以降、このような

会が開催されるのであれば、もっと生徒数を増やせるよう努めてまいります。

■担当講師の感想

 一生懸命話をきいてくれました。授業が進むにつれてだんだんと内容に興味をもち
始め、面白そうというような表情が浮かんできて、途中に行った3問の質問(iPhone
はどこの会社の商標でしょうか? PUMA対KUMA及びフランクミュラー対フランク三浦
は有効か無効か)については、明瞭にはっきりと即座に回答してくれ、判決結果には
信じられないという反応が出ましたので、内容についての理解はかなり身に付いたか
と安心しました。全体的に楽しんで授業ができました。


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