【日時】2024年6月9日(日)14:00〜16:00

【会場】江戸川区子ども未来館

【対象】小学4-6年生14名

【担当講師】知財創造教育支援委員会委員 竹澤 誠、斉藤 進(報告者)、(オブ
ザーバー:小屋迫 利恵)(敬称略)

■授業の概要

4月から9月までの期間に計6回開催される江戸川区子ども未来館でのゼミ「知的財産
にツヨくなるーアイディアが未来をつくるー」の第3回として商標の授業を行いまし
た。

 前半の授業(約30分)では、商標とは何かについて簡単なゲーム通じて商標の定義
や機能と、具体例を説明しました。またフランク三浦の裁判例を紹介しました。裁判
では問題にされなかった不競法のことも口にしたので少し混乱した様子もありました
が、オマージュ、パロディー、コピー(パクリ)の類型については何となく理解して
くれたようです。

 後半の授業(約50分)では、工作の時間にあて、ちり取りを作製してもらいまし
た。課題は「売れるちり取りを作ることと、それに見合った商標を考えること」でし
た。

 作品完成後の発表の時間(約20分)では、教壇の前に出て、それぞれの作品につい
て、(1)工夫点、(2)デザイン、(3)商標の三項目について発表してもらいまし
た。(1)(2)の項目は全員説明できたのですが、(3)の商標については時間内に
挙げることができない子が数名いました。商標を挙げてくれたものであっても、商標
というよりかは、クレーム(機能的な表現)のようなものが目立ちました。1,2回
の特許、意匠の授業の最後に作品に名前を付けてもらってきたせいなのか、その流れ
で作品の名称(クレーム)になったのかもしれません。または座学の時間に「オル
ファ」「熱さまシート」のような機能表現的な商標の登録事例を説明したためかもし
れません。

■ご依頼者様のコメント

以下のコメントを授業後のメールにていただきました。

日曜日は講座をありがとうございました。子どもたちが熱心に考え、手を動かしてい
るようすはほかの講座では見られないユニークな光景で、先生方のクオリティの高い
ご指導にいつも感謝しています。

■受講した児童の感想より

 ・ちりとりで同じ名前じゃくべつがつかいないから名前(商標)がだいじだと思っ
た。

 ・今回商標を学んで、人それぞれネーミングセンスが良くてすばらしかったです。
そして先生の説明がとても分かりやすくすごく勉強になりました。そしてちりとりも
最後に発表した時、いろいろなアイデアのちりとりが出てきて、そんな発想もできた
んだなと思い、すごかったです。これからも先生達の分かりやすい説明を受け、みん
なの色々な発想をまのあたりにし、どんどんかしこくなっていきたいと思いました。
これからもよろしくおねがいします。

■担当講師の感想

(1)課題の内容が分からず、なかなか手が動かない子が数名いましたが、課題をか
み砕いて説明して誘導したら手が動き出してホットしました。またおしゃべりしなが
ら絵ばかり描いていた子がいたので、ちり取りが完成できるかハラハラしましたが、
ラストスパートで、森をイメージしたとても素敵なちり取りを完成させてくれまし
た。

 課題が発明(工夫)やデザインを取り入れつつ、売れる商品とそれに商標を付すと
いう欲張りなものだったので、商標のほうまで気がまわらない子が数名いましたが、
おおむね出来ていたのでホットしました。ハサミの利用は少しヒヤリとする場面もあ
りましたが、最終的には楽しく安全に発明工作授業を終わらせられたと思います。

 なお、今回の商標の回では工作をしてもらいましたが、工作を抜きにしてグループ
で売上に貢献してくれる商標を議論し、班ごとにその結果(商標)を発表してもらう
のも一案かと思われました。(斉藤)

(2)今回の授業は3回目で商標でした。特許と意匠をすでに学んでいるので、工作
を「チリトリ」とし、お客さんが買いたくなる工夫とデザインに優れたものを作るよ
う指導しました。商標も自分のチリトリをアピールできる商品が売れるようなものを
考えてもらいました。工作は時間いっぱいまで真剣に取り組んでいましたが、作りな
がらネーミングを考えていたものと思います。デザインだけを意識して工作した人は
いませんでしたが、各自の発表で意匠性があることもこちらから指摘したので、発明
と意匠は密接に関係していること、さらに物を売るためには商標も大切であることを
感じてもらえたものではないかと思います。(竹澤)


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