【日時】2024年7月31日(水)11:15~12:25

【会場】横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校

【対象】計55名(1年生=44名、2年生=7名、3年生=4名)

【担当】田川貴章先生

【講師】日本弁理士会関東会知財創造教育支援委員会 岩永勇二

    日本弁理士会関東会神奈川委員会      打越佑介(報告書作成)

■授業の概要

1.学校について

・横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校(通称「YSFH」、「サイフロ」)は、横浜市にある公立の理数科高校で、2009年に京浜臨海部研究開発拠点の横浜サイエンスフロンティア地区に設立され、文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH」「科学技術人材育成重点枠指定校」「スーパーグローバルハイスクール」、横浜市教育委員会から「進学指導重点校」に指定されたこともあります。

・SSH(スーパーサイエンススクール)生徒研究発表会では最高賞である文部科学大臣賞を2年連続受賞といった優れた実績を誇っており、国際生物学オリンピックや国際物理オリンピックの日本代表に選ばれた生徒もいます。

2.学校側の希望等

・担当 田川貴章先生との打合せにより、弁理士におけるキャリア教育を行いました。

・下記は、授業で触れてほしいこととして事前にリクエストいただいた項目です。

  ・その職業を知ることになったきっかけ

  ・その職業に就くために必要な勉強(大学の学部や大学進学後に必要な努力など)

  ・仕事の具体例 ・実際 (1日の流れなど)

  ・その資格を持っていることで、できること(持っていないとできないこと)

  ・横浜 サイエンスフロンティア高校の生徒がその職業に就いたら

3.授業の流れ

 資料配布・紹介(5分)→岩永(35分)→打越(25分)→質疑応答(5分)→生徒感想提出+ノベルティ配布(10分)

4.講師による説明内容

 岩永は、弁理士の仕事(弁理士の基本業務、事務所弁理士の一日のタイムスケジュール例、裁判所調査官としての働き方、特許侵害訴訟のイメージ、特許庁の審査官等としての働き方、企業内弁理士としての働き方)、弁理士を志したエピソード・弁理士になった理由・合格までの道のり・夢や志、理系大学出身の弁護士・弁理士の学歴・キャリア事例紹介、印象に残っている仕事、仕事体験(クレーム作成)、生成AI(ChatGPT)による発明事例、弁理士試験の概要、パテコンの紹介、生徒の皆さんへの期待、について説明を行いました。

 打越は、弁理士・知財の基本情報(弁理士の歴史、管轄省庁の紹介、知財権・産業財産権の紹介)、弁理士の仕事(特許・実用新案・意匠・商標の代理業務スケジュール、知財権による陣取り合戦の概念、特許戦略イメージ、特許・意匠・商標の事例紹介、各種プロフェッショナル活動の紹介)、キャリアの考え方(実現したいゴールのイメージ、弁理士の職能例、弁理士になった理由、キャリアデザイン紹介、一日のタイムスケジュール例、生徒の皆さんへの期待、について説明しました。

5.生徒の感想(一部)

・先生方の話を聞いて本当にすごい職業だと思いました。いろんな分野の知識を身に付けて、専門家と交流できて、海外とも関わることができて、本当に弁理士しかできないことがたくさんあることを感心しました。

・(昨日は弁護士さんからお話を頂いたのですが、)同じ法律がからんだお仕事でもやりがいやシステム、なり方などは全く異なることがわかり驚きました。最後のキャリアの考え方についてのお話では、多くの学びを楽しみながら得ることができました。この体験を自分の進路選びに活かしていきたいと思います。

・弁理士という仕事がとても重要なものだと知ることができましたし、発明によって関わる分野が多岐にわたるということがとてもすごいなと思いました。その分、弁理士の仕事は幅広く、自分の好きなことをやりやすいのかなと思い、弁理士に興味を持ちました。

・自分は研究者になりたいとはあまり考えていないのですが、産業技術については興味があるので、それを目の当たりにできる弁理士も魅力的に感じ、将来の進路の選択肢の一つとして考えておきたいです。

・様々な企業や人と一緒に特許に関係する内容を考えることはすごく自分に合っていて一つの進路にしてもいいなと感じました。

・それパクから知的財産権や弁理士について興味をもっていたので、仕事内容だけでなく、具体的に1日を通してどんな仕事をしているのか、働く場所はどこかなど、ドラマでは分からなかったところが沢山しれて面白かったです。

・岩永さんの、自分の過去から日本の発明家を守るために行動しようという考えに偉大さを感じました。

・合格率が当時3%だった弁理士試験に7回も挑んで合格されたというその「粘り強さ」に感銘を受けました。私はすぐに諦めてしまう性格なので、今日のお話を通して、失敗してもすぐに諦めるのではなく、貫いて一つのことをやりとげてみようと思いました。

・打越さんの、~もしもあなたが〇〇〇になりたいなら~は、将来へ向けた行動の指針を示してくれました。

・打越先生がおっしゃっていたように、「何の職業につきたいか」ではなく「どんな状態でありたいか」を見すえて、そのための手段として職業を考えるようにしてみようと思います。

・私は今までサイエンスフロンティアに入学したからには研究職などにつくビジョンしかなかったのですが、今回の授業を通して将来への展望が広がりました。

■ご依頼者様の感想

 弁理士は仕事の内容のあまり知られていない職業だと思われる。

 よく知らない人は弁護士と勘違いし、少し知っている人は「特許とかやっている人だよね」と言い、もう少し知っている人は商標や意匠についても言及すると思われるが、そこまで知っている人は企業の知財管理などを生業としている人を除き、非常に稀であろうと思われる。

 私自身も「特許とかやっている人だよね」のレベルであったが、先生方のお話を伺い、お仕事の内容や社会における重要性について、認識を改めることができた。

 特に本校は理数科単科高校であり、今後、理学・工学系の発明が期待される学校である。

生徒たちが特許について知ることは、今後の彼らの人生において非常に重要な意義があると考えている。

 来年度も引き続き、実施していきたい取り組みである。

 お二方の先生方には厚くお礼を申し上げたい。

■担当講師の感想

≪岩永≫

 本企画は、昨年度に引き続き、夏休み中の夏期講習における1コマとして、職業紹介のご依頼でした(7/30:弁護士、7/31:弁理士、8/1:公認会計士、8/2:社会保険労務士)。

 自由参加の授業であるにもかかわらず、昨年度よりは減ったものの40名近くが参加するという、生徒たちの学習意欲の高さと好奇心の旺盛さには今年も驚かされました。また、授業中、まじめに集中力を持続させて聴講する態度は流石でした。本企画を計画・実行し、参加するよう生徒たちを導いた担当の田川先生の行動力・生徒愛には今年も感銘・敬服するばかりでした。

 反省点としては、多くを伝えたいという気持ちを抑えて時間に見合ったppt資料の枚数にとどめ、早口になりすぎないようにお話したほうが結果的にはより多くのことを伝えることができたのではないかと思います。

≪打越≫

 高校生の皆さんのキャリアに対する好奇心、そしてこういった好奇心を生徒に抱かせる企画を主催なさる田川先生の想い、いずれも授業をしながら感じられたため、説明にも力が入りました。今回の授業が生徒の皆さんにとって将来の働き方やゴールをワクワクしてイメージできるものになったらこの上なく嬉しいです。

 反省点は、授業の進め方に関しまして、授業時間に対してスライドのページ数が多く、説明が駆け足になってしまったことです。配布資料として充実したスライドとは別に、理解が深まる説明のためのスライドの活用を、今後は意識したいと考えています。

 改善点は、授業の内容に関しまして、生徒の皆さんが知的財産部門における将来性をイメージしやすくすることです。例えば弁理士になる前に有利なキャリア(エンジニア・特許技術者・知財部員)、代理人弁理士の働き方・職能・転職の可能性、企業内弁理士(又は知的財産部員)の働き方・職能・転職の可能性、各種プロフェッショナル活動の可能性(裁判所調査官、会社役員、学校講師)、弁理士としての人脈の作り方(協会活動、委員会活動、各団体活動)を盛り込むことで、イメージできるキャリアデザインの自由度が増すと想定しています。


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