【日  時】2025年2月10日(月)10:40〜12:15

【会  場】神奈川県立相模原支援学校橋本分教室

【対  象】計34名(1年生=11名、2年生=10名、3年生=13名)

【担当講師】知財創造教育支援委員会 美川公司

      神奈川委員会      打越佑介

■授業の概要

第1部では、弁理士の仕事、知的財産(著作物等)と知的財産権(著作権等)の種類、著作権侵害時のペナルティ(賠償金、懲役、罰金)、第2部では、著作権の種類(複製権、公衆送信権等)、著作権の侵害に該当しない条件(著作物ではないこと、保護期間外であること、私的使用のための複製や引用といった例外規定に該当すること、著作者等の許可を取ること他)、著作権のクイズの出題と解説、について話しました。
スライド頁数は計79枚(大き目の文字、写真・アイコンあり、アニメーション機能活用)です。

■ご依頼者様のコメント

本校をはじめ神奈川県内の特別支援学校では、今年度より国の「GIGAスクール構想」に基づいて、1人1台の学習用端末が配備され、教員は手探りのなか端末を活用した授業づくりに取り組んでいます。一方、授業を受ける生徒たちは、スマートフォンが普及し始めた頃に生まれ、その広がりとともに成長しているためか、InstagramやYouTubeなどのSNSを自在に使いこなすなど、教員を遥かに超える情報処理・活用能力を身につけています。しかしながら、生徒は情報モラルや情報倫理といった知識を十分に得ておらず、学習用端末の配備によって教育の可能性が広がったものの、SNSトラブルをはじめとしたさまざまなトラブルの危険性も生じているのが現実です。

そうしたなかで、相模原支援学校橋本分教室では、情報モラル教育の充実が喫緊の課題と捉え、取り組んできました。その取り組みの一つが、この度の美川公司弁理士・打越佑介弁理士による知的財産権の授業です。

 計画当初、社会科の教員である自分さえも十分に理解した上で講じることが難しい知的財産権を授業で取り扱うことは生徒にとって理解が難しいのではないかとの懸念がありました。しかし、先に述べたような生徒の実情を踏まえると「しっかりと伝えていかなければならない」「トラブルに発展してしまう可能性がある」と依頼をさせていただきました。

 授業の実施へ向けて、事前に打合せの機会を設けていただき、いろいろと注文してしまいましたが、スライドを修正していただくなど、こちらの意図を汲み取りながら丁寧かつ柔軟な授業づくりをしていただきました。

 実際の授業では、グループワークの時間を設定し、生徒がより主体的に学習に取り組むことができるよう工夫していただき、知的財産権という学習内容に対して生徒の興味・関心を高めることができたように思います。その結果、相模原支援学校橋本分教室では「実務に明るい方の声を生徒に届けたい」との思いから行っている外部講師による授業では緊張のためか質問がでないことが多い生徒たちが自ら「こうした事例は著作権違反ですか?」「著作権違反の動画を見た人は処罰されますか?」など具体的な質問を続々としていました。また、授業後の感想でも「トラブルにならないように気をつけたいです」「インスタの使い方に気をつけたいと思います」などの感想が寄せられました。最後になりますが、生徒が興味・関心を持ち、トラブルを回避しようする意識を芽生えさせる、そのような授業を提供していただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。

■担当講師の感想

 今回の授業を通じて、生徒の皆様が他人の著作物の取り扱いに対する意識が芽生えたら嬉しいです。自他に関わらず著作物を大切にする気持ちと、著作物の適した使い方の知識により、私生活や勉学が充実すると、私的には考えています。

 スライドの1頁内のボリュームを少なくし、スライドにないことを口頭で説明する授業スタイルは、知的財産に不慣れな方に適していることを、あらためて学びました。今後もこのスタイルを大切にし、知的財産活動の普及に努めたいと思います。


Related posts