【日  時】2025年7月10日(木)13:25〜15:05

【会  場】栃木県立足利工業高等学校

【対  象】産業デザイン科 高校2年生 38名

【担当講師】知財創造教育支援委員会 委員 高原 千鶴子

      栃木委員会 委員 山田 由美子

■授業の概要

授業は、前半部(高校生に必要な知的財産権の知識)と後半部(知財調査の実習)に分けて行ないました。
前半部は、対象が産業デザイン科の生徒さんでしたので、商品開発や意匠登録などのデザインにかかわる、商標権、意匠権を中心に、特許権、著作権(生成AIを含む)について、なぜ知的財産権の登録が必要か、登録条件、登録の成功例・失敗例、侵害に巻き込まれないための対策、デザインパテントコンテスト等について説明を致しました。
後半部はJ-PlatPatを利用して実習を行いました。実習の前に、まず、知財調査が何故必要かについて、また、著作権と意匠権などの産業財産権との違いについて、説明しました。実習は、一人1つずつ端末を使って行いました。課題は、①番号での意匠、商標、特許の検索②意匠の物品名での検索③商標の称呼での検索④商標の図形での検索です。生徒さんは、すぐに要領を掴み、課題を早々に終わらせて、思いついた商標などを検索している生徒さんもいました。

■生徒の感想(抜粋)

(1) 知的財産権について深く知れて貴重な経験になりました。普段気にせず使ったり食べたりしている物には意匠権や商標権があることがわかりました。意匠がデザインと同じ意味を知ったときに親近感がわきました。実際に調べてみて、同じ商標でもたくさん出てきてびっくりしました。ある会社について調べてみたら3000件以上出てきて、幅広いんだなと思いました。興味を持ったので家でも調べてみようと思います。

(2) この社会にでている製品1つ1つが、特許や著作権や商標権など様々な観点からのチェックを受けて、私たちの手本にあると思うと本当にすごいと思いました。そして、その商標にも、商標の登録が必要ですし、そして、その必要なことにも、ブランド力が備わり売り上げなどのUPにつながる秘訣などもあることにもビックリしました。安心して商標を使える、商標が真似されにくい、模倣品の排除、普通名詞化を防止、取引先など信頼・評価UPなどです。この特許が著作権や商標名にも、1つ1つのルールや決まり、守り事があることがわかりました。本当に人生のためになる出張授業ありがとうございました。

(3) 「知的所有権」がどのような物なのかを知ることができました。授業を受ける前は、名前を聞いたことがあるくらいで一体どんな権利なのかあまり理解していなかったため、とても勉強になりました。お話を聞いて印象に残っていることは、AIの作品についてです。物や使い方によって、AIの作品でも権利が関わってくるということに驚きました。また、商標検索を行った際には、身の回りのとても身近な物ばかりの情報を知ることができ、楽しかったし、商標について興味を持つことができました。貴重な体験をありがとうございました。

(4) 知的財産権の授業を受けて、知的財産とは何かを知ることができました。1つの製品が多くの権利で守られていることにとても驚きました。車やスマホ、時計、メガネ、カメラなども意匠権の保護対象になることも知ることができました。また、意匠登録はお店などの内装も含まれていることにも驚きました。また、デザインパテントコンテストというコンテストのことを知り、とても興味がわいてきました。貴重なお話が聞けてよかったです。

■ご依頼者様のコメント

産業デザイン科では、起業家精神育成の一環として知的財産特別授業を毎年実施しています。弁理士の方々から、デザインの現場で起こる問題や事例紹介、生成AIの取り扱い、
J-Platpatでの検索法など実践的に学べる貴重な機会です。生徒、教員ともに演習をとおして視野が広がり、知財について理解を深めることができました。
高原様、山田様、ご指導いただきありがとうございました。

■担当講師の感想

足利工業高校・産業デザイン科は、女生徒が大部分を占めていて、絵画を描いたり、デザインをしたり、卓上機織り機を使って反物を織ったりする科であり、工業高校というよりは美術学校の様な明るい活発な雰囲気の学校です。学外の講師の授業を積極的に取り入れ、生徒さんもそれを良い経験にしていることが感じられ、学校全体が知識の吸収に情熱を持って臨んでいる学校です。弁理士会関東会として末永くお役に立てるようにしていきたいと思います。




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