【日時】2022年10月29日(土)14:40〜16:00

【会場】産業振興会館(さいたま市北区日進町)

【対象】小学1年生〜中学2年生(17名)

【担当講師】赤塚正樹(埼玉委員会)、雨宮三千代(知財創造教育委員会)(文責)

n 授業の概要

(1) 知的財産権に関する授業(20分)(担当:雨宮)

① 事前打ち合わせで、先方から、知的財産権をテーマにして欲しいというご依頼がありました。そこで、知的財産権には、特許権、意匠権、商標権、著作権があることや、それぞれの保護対象の違いを図や写真で説明しました。また、特許権を取得する理由やその手続き、特許要件等を説明しました。更に、著作権は、他の三権とは異なり、特許庁への出願手続きは不要であること、著作物の創作と共に発生する権利であること、著作権侵害になる例も説明しました。

② 発明について、更に理解を促すために関東会のコンテンツを利用し、エジソンの発明内容や、「日本人の発明はどれでしょうクイズ」を行いました。授業への参加のモチベーションを上げてもらうため、積極的に挙手をしてもらいました。

③ 発明工作授業へと繋げるイントロとして、「カタシャンボトル」と「肩ブレラ」を説明しました。これらの例を用いて、日常生活の中での困りごと(課題)を明確にし、その課題を解決するために発明を行う、という流れで話をしました。

④ 本日の発明授業「片手でもてるかな」につなげるため、状況設定を説明しました。

二人の少年、大ちゃんと浦ちゃんは、友達同志です。二人は、浦和美園にサッカーの試合を見に行きました。大ちゃんは大宮アルディージャ、浦ちゃんは浦和レッズのファンです。二人は、今、大好きなポップコーンとコーラを買って、両手に持っています。そこに、お父さんから電話がかかってきました。

大ちゃん:

「浦ちゃん、悪いけど、僕のズボンのポッケから、スマホ取ってくれない?」

浦ちゃん:

「えー、無理だよ。僕、コーラとポップコーンで両手ふさがっているもん」

大ちゃん:

「えー、僕もだよ。どうしよう、スマホ取れない……」

みなさん、困りましたね。ちなみに、お父さんの電話の内容を聞いてみましょう。

お父さん(赤塚、声で出演):

「あ、大ちゃん、お父さんだよ。チケット、大ちゃん持っているよねー。お父さん、チケットないから入れないよ。入り口まで来てくれないかな?」

これは、大変、絶対に大ちゃんは、スマホに出ないといけません。

さあ、みなさん、ここで問題です。大ちゃんは、両手にコーラとポップコーンを持っているので、スマホに出られません。どうしたら、この課題を解決できるでしょう?

紙コップと紙皿を一つにして、片手でもてるような物を発明してください。

その際に、形だけではなくて、色や模様をつけても良いです。自分のマークを作ってつけても良いです。さあ、始めましょう。

(2) 発明工作(30分)(担当:赤塚)

題材:片手でもてるかな

· 3人用長テーブルに、ほぼ家族単位で着席されました(保護者10名、子供17名)。当初は、子供だけが工作をすることを予定していましたが、保護者の方や発明クラブの指導員の方も工作に参加してくださいました。保護者と一緒なので、子供たちは楽しそうでした。

· ハサミとテープを使って作るので、皆さん、大まかな形は早くに作り上げたのですが、作るうちに色々な課題が見えてきて、detailにこだわりだしました。

例えば、①着色や模様、ポップコーンをお皿からこぼれないようにするにはどうしたら良いか、②飲み物がポップコーンに染みないようにするにはどうしたら良いか、③皿とコップを簡単に分解して捨てるようにするにはどうしたら良いか、SDGSを考えて、テープを使わずに組み立てるにはどうしたら良いかなど、子供も大人も様々な課題を見つけ出し、解決する手段を考えていました。

(3) 発表会(30分)(担当:赤塚)

· 子供たちに前に出てきてもらい、作品をみんなに見せて、発明の特徴や工夫した点を発表してもらいました。最初は恥ずかしがっていましたが、数人発表したら、積極的に前に出てきてくれました(子供12人、保護者3人、指導員2人発表)。

最後に、関東会のコンテンツの作品例を紹介しました。

n 子供達の感想(感想文より)

· 「知的財産」について、授業でよくわかりました。

· 実際に作ってみて、一つの物を作るのにも様々なアイデアが出ていて驚きました。

· 発明作品を作る時、結構すぐに思いついたけど、やってみたら意外と難しくて、その考えが似ている人が結構いて、こういう物を、特許をとってしっかりとしたものにするのは、とても難しいことだとわかりました。

· 周りが作っていないものを考え、作るのは大変でした。同じテーマで作ると、思ったよりかぶらずに、人それぞれの個性が出ていました。機能やデザインのどちらを優先するかも、みんな個性が出ていました。

· 一つの課題についてのみんなのアイデイアが面白かった。みんなの作品を見て、色々なアイデイアが更に浮かんできて、どんどん、付け足したくなった。また、こういうことをして欲しい。

· もっと工作したかった。ポップコーンがこぼれないようにした。

· みんなのアイデイアを見ていて、いろいろやってみたいと思った。自分も、何か不便なものを便利にするために色々作りたい。

· 発明するのは難しかったけど、意外といいものができました。

· 亀にするのをがんばりました。上手にできてよかったです。

n 保護者の感想(感想文より)

· 「知的財産」という言葉は以前より知っていましたが、詳しくは知りませんでした。本日の講習は、やさしくて大変わかりやすく楽しかったです。

· 同じ題材でも、年齢やその人の考えによって、色々なアイデイアが出てきて面白かったです。発表では、子供達の方が、ワクワクする案が多かったようです。

· 久しぶりの工作は楽しかったです。このような機会を設けてくださりありがとうございました。

· 親子でアイデイアを考えながら、楽しい時間を過ごすことができました。

· 普段から、何でだろう、不便だな、など疑問に思うことができることが、発明には大事だなと思いました。

n ご依頼者様のコメント

10月29日は熱心なご指導頂きありがとうございました。

n 担当講師の感想

(雨宮)

· 依頼されたテーマが「知的財産権」で、小学生に何を説明したら良いのか戸惑いました。座学で20分以内でないと子供は飽きると思い、時間的な制約のため、簡単なことしか説明できませんでした。

しかし、子供たちへのメッセージ「発明は、生活の不便を解決するためのもの。みんなも、自分の周りの人たちが困っていたら、何か助けるようなものを考えよう。そういうことが発明につながるよ。」は、伝わったような気がします。

· 今回、紙コップと紙皿を30人分用意したのですが、クラブ員の兄弟姉妹や保護者が積極的に参加してくださる場合もあるので、もう少し多めに用意すればよかったと思いました。

· 発表会は、非常に盛り上がりました。発表の時には、発明の内容と、どこを工夫したのかを説明してもらいました。子供たちは、予想もしないような発想をするので、それを聞くことは、大人も子供も、非常に勉強になりました。せっかく作った作品なので、アイデイアの発表会は絶対必要だと思います。

· 動物クリップのお土産は大人気で、兄弟姉妹の分を考えていなかったので、(今回足りましたが)、余分に申し込めば良かったと思いました。

(赤塚)

· 部屋の広さ・明るさ、机・椅子の配置、参加者の詳細など、当日会場に行って初めて分かったことが結構あり、その場で臨機応変な対応をする必要がありました。これは他のケースでも同じことが起きる可能性がありますので、担当者はそういう認識(心づもり)をしておくとよいと感じました。

· 指導員の方が上手にサポートしてくださったこともあり、授業や工作時間が想像以上にスムーズに流れ、最後の発表の時間を多めに取れたことで、参加者が沢山の作品を見る機会を作ることができ、とても良かったと思いました。

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